東京裁判開廷70年の節目の今年、弊社で出版したばかりのヘンリー・S・ストークスさんの著書「戦争犯罪国はアメリカだった!」が、その開廷の日の今日、朝鮮日報日本語版で取り上げられました。
記事は、日本では、あの戦争が間違っていたという認識が、近年みるみる薄くなっている、というような内容です。
村山富市首相はその談話で、明確に日本の非を認めて、アジア諸国の人々に謝罪していたのに、安倍首相は、「A級戦犯は日本の法律上は戦犯ではない」「連合国側が勝者の判断によって断罪した」「先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と発言し、日本国民は拍手喝采、一般人も徐々にそうした態度が危険だと思わなくなってきている、というようなことが書かれています。
東京裁判史観を覆そうとする動きを、危険なものと見なしているわけです。
それで、日本国内では右翼を中心に「東京裁判は勝者による報復だった」という声が高まっており、その一例として、ストークスさんの「戦争犯罪国はアメリカだった!」が取り上げられていたのです。そしてそれを「産経新聞」が推薦していると。
(産経新聞の該当記事 GHQの占領政策はごまかし 『戦争犯罪国はアメリカだった!』)
ストークスさんは、「右翼」側の人間だと見なされることが多いようで、本書でも次のように語っています。
よく私は、「なぜイギリス人なのに、日本の弁護をするのだ」とか、「なぜ右翼のプロパガンダを応援するのだ」と言われる。
しかし私は、「日本の弁護をしているのでも、右翼のプロパガンダをしているのでもない」と、そう答える。
すると、一様に怪訝な顔をされる。地動説を唱えるガリレオのようなもので、なかなか理解してもらうのは難しい。
「地動説を唱えるガリレオ」という言葉で、ストークスさんの真意はだいたい想像がつくと思いますが、さらに具体的に主張している箇所から引用しましょう。

七十年前に、東京裁判を世界に報道する重要な役割を果たしたのが、当時は「東京特派員倶楽部」と呼ばれた日本外国特派員協会でした。
日本と日本人の邪悪なイメージは、記者クラブの私の先輩たちが拡散したものです。
いわゆる「南京大虐殺」を世界に報じたのも、外国特派員でした。
もしその報道が不正確だったり誤報であったなら、ジャーナリストとして、また外国特派員として、それを正すのが私の義務です。
連合国が戦った戦争を、当時の東京特派員たちが、大義のある「正義の戦争」だと報道しました。
東京特派員たちは、野蛮な社会だった日本に文明と民主主義をもたらしたアメリカの偉大さを、報じました。
東京特派員たちは誇りをもって、正義の法廷が正しい判決を、東條英機をはじめとする邪悪で、悪魔のような日本人の「A級戦犯」に対して下したと、報道したのです。
そうした虚妄を報じたのは、他ならぬ東京特派員倶楽部のジャーナリストたちでした。
戦時中の日本、東京裁判、いわゆる「南京大虐殺」について、誰かがその歪曲された報道を正すべきなのです。
特派員たちの報道は、戦時プロパガンダでした。
真実は適切に伝えられ、世界に広められなければなりません。
ジャーナリストとして、私は七十年前に東京特派員たちによって報道された誤りを正すことに誇りを感じます。
連合国の戦勝史観の虚妄は打破されるべきです。
これでストークスさんの真意はおわかりでしょう。
右とか左とかは関係ありません。
事実か事実ではないか、だけの話なのです。
ストークスさんは自らの職業に誇りを持つ、プロのジャーナリストです。
だから、間違った情報、それも70年にもわたって巨大な影響力を全世界に及ぼし続けてきた虚報は、絶対に正さなければならない、それがジャーナリストとしての責務である、との強い信念で、ストークスさんは本書を執筆されたのです。

ヘンリー・S・ストークス氏
本書の紹介動画